お盆が過ぎても、まだまだ蚊の多い季節が続きます。「刺されただけ」と思われがちな虫刺されですが、ご高齢の方の場合、かゆみが長引いたり、掻き壊してしまって傷が治りにくくなったりすることが少なくありません。今回は、ご自宅で過ごされる方とご家族に向けて、虫刺されの手当てと、気をつけたいサインについてお伝えします。
年齢を重ねると、虫刺されが長引きやすくなります
年齢とともに皮膚は薄く乾燥しやすくなり、少しの刺激でも傷つきやすくなります。また、皮膚のバリア機能や治る力もゆるやかに低下するため、若い頃なら数日で治っていた虫刺されが、なかなか引かないということが起こります。
さらに、糖尿病をお持ちの方や、ステロイド薬・免疫を抑えるお薬を使っている方は、傷が治りにくかったり、細菌の感染を起こしやすかったりする傾向があります。むくみのある足や、寝ている時間の長い方の背中・お尻まわりも、皮膚がもろくなりやすい場所です。
ご本人がかゆみをうまく伝えられない場合もあります。夜になると落ち着かない、同じところをしきりに触っている、といった様子が見られたら、そっと皮膚を見てあげてください。
刺されたときの、ご自宅でのお手当て
刺されたところは、まず流水と石けんでやさしく洗い、清潔にします。かゆみが強いときは、濡れたタオルや保冷剤をタオルで包んだもので数分冷やすと、和らぐことがあります。冷やしすぎは皮膚を傷めますので、感覚が鈍い方の場合はとくに短時間にとどめてください。
市販のかゆみ止めを使う場合は、傷になっている部分やジュクジュクした部分を避けて塗ります。何種類ものお薬を重ねて塗るとかえって刺激になることがありますので、迷ったときは薬剤師や医師にご相談ください。
そして何より大切なのが、掻かないための工夫です。爪を短く整えておく、寝るときに薄手の手袋や長袖を使う、ガーゼで軽く覆っておく。こうした小さな備えが、傷を作らないことにつながります。
「掻き壊し」から起こる、とびひ・蜂窩織炎にご注意
掻き壊した傷から細菌が入ると、とびひ(伝染性膿痂疹)や、皮膚の深いところで炎症が広がる蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こすことがあります。蜂窩織炎は、赤み・腫れ・熱っぽさ・痛みが広がるのが特徴で、発熱を伴うこともあります。ご高齢の方では、時に短期間で悪化することもあり、早めの対応が大切です。
とくに足は、むくみや水虫の小さな傷が入り口になりやすく、注意が必要な場所です。片方の足だけが赤く腫れて熱をもっている、といったときは、様子を見すぎずにご相談ください。
蚊を寄せつけないための、暮らしの工夫
日本の家のまわりでよく見られる蚊は、少しの水たまりでも増えていきます。植木鉢の受け皿、じょうろ、古タイヤ、雨どいのつまりなど、たまった水はこまめに捨てておくと発生を減らせます。
お部屋では、網戸のすき間や破れを確かめ、窓を開ける時間帯に注意します。ベッドまわりに蚊取り線香や電気式のものを使うときは、換気ができているか、火の元は安全かを確認してください。虫よけ剤を使う場合は、皮膚の弱い方や寝たきりの方では、直接の使用が向かないこともありますので、使ってよいかを事前にご確認いただくと安心です。
厚生労働省のサイトでも、蚊に刺されないための対策が紹介されています(厚生労働省「蚊媒介感染症」)。
こんなときは、早めにご相談ください
次のような様子が見られたら、早めの受診をご検討ください。赤みや腫れが日ごとに広がっている/熱をもってズキズキ痛む/膿が出ている/発熱がある/糖尿病などお持ちの方で足に傷ができた/かゆみで眠れない日が続いている。持病のある方は自己判断せず、かかりつけの医師にご相談ください。
季喜ホームクリニックは、横浜市港北区大豆戸町を拠点に、ご自宅にうかがう訪問診療を行っています。皮膚のトラブルも、日々の暮らしの様子とあわせて診させていただきます。訪問診療の流れや診療内容、よくあるご質問もあわせてご覧ください。ご不明な点はお問い合わせフォーム、またはお電話(050-1809-9929)でお気軽にどうぞ。24時間365日、体制を整えてお待ちしています。
小さな虫刺されが、思わぬ不調のきっかけになることもあります。残暑の日々を、どうぞ健やかにお過ごしください。
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