寒くなってくると、「なんとなく食が細くなった」「前より食事を残すようになった」と感じるご家族が増えてきます。
夏バテのように分かりやすい不調ではないため、冬の食欲低下は見過ごされがちです。
けれども、ご高齢の方の場合、食事量が減った状態が続くと、体力や筋力の低下につながることがあります。
ここでは、冬に食欲が落ちる背景と、ご自宅でできる工夫、受診を考えたい目安をお伝えします。
冬になると食欲が落ちるのはなぜ?
大きな理由は、寒さで体を動かす機会が減り、おなかが空きにくくなることです。
加えて、台所に立つのがおっくうになって食事の内容が簡単なものに偏ること、寒さや乾燥で体調をくずしやすいことも重なります。
冬は外出や散歩の機会が減り、一日の活動量が下がります。使うエネルギーが減れば、自然と「おなかが空かない」状態になりやすくなります。
そのほか、お薬の影響や、持病の状態、口の中の不調が関係していることもあります。
「年のせい」と決める前に、要因が重なっていないか見てみると、手がかりが見つかることがあります。
見過ごされやすい「体重が減っている」サイン
食欲の低下がしばらく続くと、体重が少しずつ減っていきます。
ご本人もご家族も気づきにくいのですが、指輪や入れ歯がゆるくなった、ズボンのウエストが余るようになった、といった変化はひとつの手がかりです。
半年で2〜3kg以上減っているようなときは、体力や筋力が落ちるきっかけになることがあるといわれています。
週に一度など決まったタイミングで体重をはかって記録しておくと、変化に気づきやすくなります。
低栄養とフレイルの関係については、夏こそ気をつけたい高齢者の低栄養でもご紹介しています。
ご自宅でできる、冬の食事のちょっとした工夫
食べる量を無理に増やすより、「少しの量でも栄養がとれる」形に近づけるほうが続けやすくなります。
汁物に卵や豆腐を落とす、ごはんにしらすやごまを加える、おやつに牛乳やヨーグルト、チーズを取り入れるといった、小さな足し算です。
厚生労働省 e-ヘルスネット「高齢者の低栄養予防」でも、筋肉量を保つうえでたんぱく質が不足しないよう心がけることが大切とされています。
温かい料理は香りが立ち、食欲を後押ししてくれます。鍋物や具だくさんのスープなら、食材をまとめてとれるうえ、水分補給にもつながります。
食事の前後にできる、からだと口の準備
日中に少し体を動かすと、おなかが空きやすくなります。室内でも、いすに座ったままの足踏みや、日当たりのよい窓辺で過ごす時間をつくるだけで違ってきます。
また、口の中が乾いていたり、入れ歯が合っていなかったりすると、食事そのものがおっくうになります。
食前に口をすすぐ、歯みがきや入れ歯の手入れを続けることも、食欲を支えるケアのひとつです。
冬は汗をかかない分、水分が不足していることに気づきにくい季節でもあります。あわせて冬でも脱水になるのはなぜ?もご覧ください。
こんなときは、早めにご相談ください
食事量の減った状態が2週間以上続いている、体重が短い期間で減ってきた、食事のときにむせる・飲み込みにくい、発熱やだるさを伴う——こうしたときは、早めにご相談ください。
食欲の低下の背景に、感染症や口の中のトラブル、お薬の影響などが隠れていることもあります。持病のある方は自己判断せずかかりつけの医師にご相談ください。
季喜ホームクリニックは、横浜市港北区を中心に訪問診療を行っています。通院が難しい方のご自宅にうかがい、お食事や体重の変化についてもご一緒に考えます。
24時間365日のご連絡先をお伝えしています。訪問診療の流れや診療内容、よくある質問もご覧いただけます。
ご相談はお問い合わせフォーム、またはお電話(050-1809-9929)からどうぞ。
寒い季節も、いつもの食卓がおだやかに続いていきますように。
コメント