「夏の疲れがなかなか抜けない」「この頃、なんだか体がだるい」——寝苦しい夜と暑さが続くこの時期は、そんな声を耳にすることが増えてきます。汗をかき、食も細くなり、ぐっすり眠れない日が重なると、私たちの体は気づかないうちに疲れをため込み、体を守る力(免疫の力)が落ちてしまいがちです。そうして抵抗力が弱ったときに、ふいに現れることがあるのが「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」です。子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスが、長い年月をへて再び目を覚ます——そんな身近な病気で、ご高齢の方ほど起こりやすいことが分かっています。早めに気づいて手当てをすれば、つらい痛みを長引かせずにすむことも多い病気です。今回は、帯状疱疹の初期のサインと、ご自宅でできる予防・ケアの工夫を、やさしくご紹介します。

帯状疱疹とは?ご高齢の方に多いのはなぜ
帯状疱疹は、子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが原因です。一度治っても、ウイルスは体からいなくなるわけではなく、神経の中に静かにひそみ続けます。それが、加齢や疲れ、睡眠不足、ストレスなどで体の抵抗力が下がったときに再び活動をはじめ、神経に沿って症状を起こします。体の左右どちらか片側に、帯のように痛みをともなう赤い発疹や水ぶくれが現れるのが特徴です。厚生労働省によると、発症する方は70歳代が最も多いとされています。夏の暑さや疲れで体力が落ちやすいこの時期は、とくに気をつけておきたいところです。
見逃したくない初期のサイン
帯状疱疹は、発疹が出る前に、体の片側にピリピリ・チクチクとした痛みやかゆみ、なんとなくの違和感を感じることがあります。数日たってから、その同じ場所に赤い発疹や小さな水ぶくれが帯のように広がってきます。左右のどちらか一方だけに出るのが大きな特徴で、体の両側に同時に広がることはほとんどありません。はじめは「虫刺されかな」「筋肉痛や腰痛かな」と思われがちですが、片側だけの痛みや発疹が続くときは帯状疱疹の可能性があります。とくに顔、目や耳のまわりに症状が出た場合は、目や耳の働きに影響することもあるため、早めの受診が大切です。ご本人が痛みをうまく言葉にできないこともあるので、ご家族が「同じところをしきりに気にしている」といった様子の変化に気づいてあげることも助けになります。
ご自宅でできるケアと過ごし方
帯状疱疹は、できるだけ早い段階でお薬による治療を始めることが大切とされています。気になる発疹や痛みがあるときは、市販薬で様子をみるより、まず医療機関にご相談ください。ご自宅では、患部を清潔にやさしく保ち、水ぶくれはつぶさないように気をつけましょう。かゆくてもかき壊すと、症状が悪くなったり治りが遅くなったりすることがあります。衣類は患部にこすれにくいゆったりしたものを選ぶと安心です。あわせて、体をしっかり休め、睡眠と栄養をとることも回復の助けになります。なお、皮膚の症状が治ったあとも、その部分に痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」が残ることがあります。痛みが長引くとつらいものですので、我慢しすぎないことも大切です。持病のある方は自己判断せず、かかりつけの医師にご相談ください。
予防のためにできること
いちばんの土台は、日ごろから疲れをためないことです。睡眠・栄養・休養を心がけ、暑い時期は無理をしないことが、体を守る力を保つことにつながります。あわせて、ワクチンによる予防という選択肢もあります。2025年度からは、65歳の方などを対象に、帯状疱疹ワクチンが予防接種法にもとづく定期接種の対象になりました。ワクチンには生ワクチンと組換えワクチンの2種類があり、接種の回数や費用、受けられる条件は、お住まいの自治体や持病の有無によって異なります。ご希望の方や気になる方は、かかりつけの医師やお住まいの自治体にご相談ください。くわしくは厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」のページもご参照ください。
こんなときは、早めにご相談ください
体の片側にピリピリした痛みや赤い発疹・水ぶくれが出てきたとき、目や耳のまわりに症状があるとき、痛みが強い・だんだん広がってくるとき、発熱をともなうときなどは、早めに医療機関にご相談ください。ご自宅で療養されている方や、通院がむずかしい方は、訪問診療でもご相談いただけます。季喜ホームクリニックは横浜市港北区を中心に、24時間365日の体制で在宅医療に取り組んでいます。
▶ 訪問診療の流れ/診療内容/よくあるご質問もあわせてご覧ください。ご相談・お申し込みはお問い合わせフォーム、またはお電話(050-1809-9929)で承っています。
夏の疲れを翌週に持ち越さないことが、帯状疱疹の予防にもつながります。気になるサインがあれば、どうぞお早めにご相談ください。
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